底なし陽キャの世界『クラブ』に隠キャがちょっと慣れた話

午前0時

 

月初だった為、先月末の経理を終わらせる。

 

『ふーーーーーーっ』

 

息を吸わずに思いっきり吐いた。

 

むせた。

 

寂しいな、、と思っていたらマイベストフレンドでもある壊れかけのアイファンが鳴り響く。

そこには先輩の名前。

 

 

『クラブ行こーぜ!!』

 

 

 

赤紙だ。

 

 

 

自慢だが、僕はいわゆる隠キャだ。

お客さんと話すならともかく、知らない人と密着するなんて耐えられない。(照れて話せない)

 

(ここで仲間意識を持ちかけた一部の同士にハッキリと引導を渡すが彼女には恵まれてきた)

 

 

だが、この日は何を考えたのか

『いいっすよ〜』

と快諾。戦場に志願したのである。

 

 

そして、酔ってもない隠キャが

色んな色のレーザービームが飛び交う戦場に向かった。

 

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僕はニューヨークというコンビの漫才が好きだ。偏見にまみれていてそこが好きだ。

 

『クラブの女は本なんて読まんから』

 

こんなツッコミが飛び交う漫才。

それを見て僕は爆笑している。

クラブなんて世界知らなかったのに。

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飛び交う光線。

街で多分1番の人口密度。

ピッチピチのサイズ感に2本線が入ったジャージを着た若い短髪の男。

本読まなさそうな女。

 

 

そこには、僕が心の奥底から馬鹿にしてきた風景が広がっていた。ニューヨークさん、あなた方の偏見は偏見じゃなかったよ。

もうまんま絵に描いたような風景だ。

 

とりあえず手を挙げてノってる横流し短髪。

長いネイルのストレート金髪。

 

『へそは出してないんだ〜』

 

と隠キャなりの精一杯のスケベ心を声に出す。

 

そして一言。

 

『へぇー、すごいっすね』

 

 

言えた。

無事に強がるという初級ミッションをクリア。

 

続けざまに

『まぶしい』

と目を細める。

 

僕の陽キャレベルは8くらい上がったと思う。

スライムランドに出てくる所謂ホンモノのメタルスライムを倒した時並みのレベルアップの速さだ。

 

実際、本当に眩しくて

慣れるまで目は開けてられなかった。

イメージ、ヘッドライトのハイビームをカチカチと目にくらってる感じくらいある。

 

音と光に慣れてきた頃、

隊長(先輩)から作戦が下される。

 

『誰か(女を)捕まえよう』

 

 

⦅え!僕まだルプガナ周りのモンスター倒せるくらいのレベルですよ、オーブのダンジョンは早すぎますって!》

 

 

と、いつもならやんわり断るところ、強がりモードに入っているのでノリノリで快諾。

 

 

滲み出る冷や汗を感じた。

 

 

⦅先輩に女の子を献上する為のゲームだ!》

そう言い聞かせ、女の子を探す。

 

 

そこで初めて周りを見渡した。

目を凝らした。

初めて隅から隅まで周りを見た。

 

 

よく見たら短髪以外の男も多い。

ノれてない男も多い。

とりあえず手あげてるだけの男も多い。

女の子も同様、色々いる。

 

 

ん?仲間が多いぞ!!

 

安心した。

 

 

よく見たら、グループはしっかり2つに分かれていた。

 

DJブースに群がるのは短髪 細ジャージ男とスキニーストレート金髪女、

その周りには我が同士たち(のように見える)がワラワラといる。

 

 

ドーナツ化現象が起きていた。

 

 

こんなところにも社会の波はきていた。

もちろん女の子、及びイチャイチャしてるのは中心部にいて、ドーナツ部分は慣れない手つきでノッている。

 

 

⦅ここが突破口だ!!⦆

 

先輩と後で合流する約束をし、ドーナツへ駆け出す隠キャ。

 

とりあえず一回声をかける。

すぐ首を振られた。

 

 

⦅あ、そっか、俺隠キャやった⦆

 

 

 

棚に上げていた事実が落ちてきた。

事実を棚に戻してドーナツを奥へ進む。

 

 

 

声をかけようとした。

確かに声をかけようとした。

 

 

 

 

 

 

 

顔を見てやめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

隠キャなりの欲が出てしまった気がした。

いや完全に欲が出た。

 

一言で言うと、上をいかれた。

可愛いとか可愛くないとかじゃなく、

 

 

 

『え、絶対クラブとか行かん顔やん』

 

 

と思ったら笑いそうになって急旋回した。

 

 

旋回したところで先輩とバッタリ。

 

 

 

『隣のクラブ行こう』

 

 

 

 

この戦場は放棄し、戦場を移す判断が下された。(先輩は一瞬で3組ほどに断られていた。帰りながらも断られていた。この人はアレフガルドの英雄である。間違いなくマスター戦士だ。)

 

 

 

不思議なもので30分もクラブにいると自然とレベルアップしていた。音にも慣れ、光にも、陽キャにも慣れていた。

 

 

 

 

調子に乗った隠キャは意気込む。

⦅次のところではバッチバチにいったるど》

 

 

 

 

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誰もいなかった。

僕たちは帰った。

 

 

目に見える収穫は無かったが、意外と面白い場所だ、と思えたのはかなりの収穫だった。

終始軽く馬鹿にした目線で見ていたが、中には本当に音楽好きな人がいたり、ダンスが好きな人がいた。

 

 

別に音楽が好きでもないし、踊りたくもないし、喋りたいわけでもない(これも強がり、喋れないだけ)隠キャな僕はやっぱり場違いだと思ったが、色んな人が見れて意外と面白かったのでまた行きたい。

 

 

 

次はとりあえず酒入れていこう。

ドーナツから攻めよう。

ニューヨークの漫才見てから行こう。

 

 

 

僕の陽キャロードは始まったばかりだ。

 

 

 

 

最後になるが僕はドラクエモンスターズキャラバンハートが好きである。